10月中旬からマイナンバー通知カードの発送が始まるそうです。
もし、届いたら会社から提示の要請があるまで、大事に保管しておいてください。
1回目は、マイナンバー制度の根拠法についてお届けしましたが、今回はマイナンバーの「利用分野」について解説したいと思います。
マイナンバーの利用は3つの分野に限定されている
マイナンバー制度は、今のところ以下の3つ分野に利用目的が限定されています。
- 社会保障関係の手続き
- 税務関係の手続き
- 災害対策
3番目の災害対策については、政府や自治体での利用がメインになると思われます。
企業にとって関心のあるところは、新たな発生する事務手続きだと思いますが、これは「社会保障関係の手続き」「税務関係の手続き」ということになります。
とりあえず「社会保険」と「税務」の分野(+災害対策)にだけ、マイナンバーが使用されるということだけを覚えおきましょう。
それでは、もう少し具体的に内容を確認していきます。
社会保障関係の手続き
社会保障関係といっても、「年金」「雇用保険」「健康保険」などのさらに細かい分野があるのですが、「平成28年1月」から対象になるのは「雇用保険」だけです。
「年金」と「健康保険」については「平成29年1月」からということになっているので、違いに注意しておきましょう。
社会保障関係の具体的な実務例としては「平成28年1月以降、従業員を新たに雇用した場合に提出する雇用保険被保険者資格取得届にマイナンバーを記載する」というものがあります。
税務関係の手続き
税務関係については、「平成28年1月」から使用されます。
企業が税務署に提出する「法定調書」や、自治体に提出する「給与支払報告書」などにマイナンバーを記載する箇所があります。
ここで補足したいのですが企業にもマイナンバーが割り当てられます。
っと言っても、正確には「マイナンバーとは個人番号」のことなので、企業に割り当てられるのは「法人番号」です。
平成28年1月以降に開始した法人税の確定申告書には「法人番号」を記載する箇所があるので覚えておいてください。
災害対策
政府、自治体での「防災・災害対策」「被災生活再建支援金」「被災者台帳」の事務手続きに使用されます。
企業の実務には、ほとんど関係ないです。
金融などの3分野以外の利用について
ここまで3つの分野について、簡単に確認していきましたが、それ以外についても利用が検討されています。
たとえば、2018年には「金融」関連の分野、具体的には預金口座と紐づけられることが、政府によって検討されています。
また、「医療・介護」などの準公的分野、「電機・ガス・水道道」などインフラ分野などでも適用が検討されています。
さらには、民間での利用も視野に入っています。
実際、民間利用が進めばいろいろなサービスが生まれて経済活性化が期待できるのですが、その一方で、マイナンバーの悪用も懸念されます。これから国会等でさらなる議論が行われると思うので注視しておきましょう。
仮に、マイナンバーの民間利用が可能になれば、特にサービス業などでマイナンバーを活用したサービス強化を図ることができるのでメリットが大きいです。マイナンバー制度の開始を機に、顧客情報の管理について見直してみるのも良いかもしれません。
必ず利用分野を確認しよう
このように、現時点でマイナンバーの利用は「社会保障」「税」「災害対策」はこの3つの分野に限定されています。この利用分野が限定されているということがポイントで、それ以外での分野での利用は認められておりません。
たとえば、社員番号をマイナンバーと同じにすれば社員管理が便利になると考える方も少なくないと思いますが(私がそうでした…)、実際、このような使い方はできません。
繰り返しになりますが、マイナンバーは「社会保障」「税」「災害対策」以外では使用できないということを覚えておきましょう。
個人のレベルでも、この3分野を覚えておくことが、マイナンバーを安全に利用するための第一歩になります。(もし、3分野以外でのマイナンバーの提示が求められたら拒否してください)