一般社団法人 秋田県中小企業診断協会

政府機関の地方移転 秋田県の候補は?

2015.12.18

政府機関の地方移転が議論されています。(中小企業庁や特許庁、国立の研究機関などの移転)

政府は18日午前、首相官邸でまち・ひと・しごと創生会議を開き、政府機関の地方移転へ向けた対応方針を決めた。42道府県から移転提案があった69機関のうち、検討対象を34機関に絞り込んだ。医薬基盤・健康・栄養研究所傘下の国立健康・栄養研究所(東京・新宿)は大阪府への全面移転を検討する。2016年3月末までに移転する機関を最終決定する。

出典:日本経済新聞

政府機関の地方移転」については、20年以上前から議論はあったのですが、今に至るまでこれといった成果は出ていません。
現政権の政策である「地方創生」への取り組みで、また改めて議論されている状況です。

この政府機関の地方移転には、秋田県も手を挙げていて、以下の機関の誘致を狙っています。

機関 部門
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター水田生産システム研究部門(埼玉県さいたま市)
中央農業総合研究センター水田輪作システム研究部門(茨城県つくば市)
(独)宇宙航空研究開発機構 相模原キャンパスロケットエンジン研究部門(神奈川県相模原市)
(独)教員研修センター (茨城県つくば市)

このリストについては、「まち・ひと・しごと創生本部」のウェブサイトからダウンロードできます。

秋田県に限らず、若者の流出が止まらない地方では、政府機関でもいいから地方に誘致したいのは、よく分かります。

しかし、仮に政府機関が地方に来たとしても、今の地域から別の地域へ人が移動するだけなので、日本全体で見れば、あまり変わらないような気もします。

実際、秋田県の候補を見ると「茨城県つくば市」の機関が2つあり、茨城から秋田に政府機関が移ったところで、「結局どうなの?何も変わっていない」っていうオチにもなりそうです。
(まぁ、秋田県からすれば、これは良いことなのでしょうけど…)

政府機関の地方移転への反対

政府の機関の地方移転については、政府関係者や専門家が「東京一極集中の改善」「地方の経済活性化」などのメリットを上げています。

その一方で、当然反対意見もあります。

国機関の地方移転反対 知事と3政令市長が政府に要望書

宇宙航空研究開発機構(JAXA、相模原市)など県内にある国の関係機関を、地方に移転させることは容認できないとして、知事と横浜、川崎、相模原市長は二十六日、連名で政府に要望書を提出することを決めた。県庁で開かれた四首長懇談会で合意した。

出典:東京新聞

消費者庁・国民生活センターの地方移転に反対する会長声明

地方創生が重要政策として位置づけられ、政府は、「まち・ひと・しごと創生本部」を内閣に設置しているが、その中の「政府関係機関移転に関する有識者会議」(以下「有識者会議」という。)において、政府関係機関の地方移転の検討が行われている。そして、現在、徳島県からの提案を受けて、消費者庁および国民生活センターの同県への移転が具体的に審議されている。

しかし、消費者庁および国民生活センターが果たす機能からして、両機関の地方移転について、当会はこれに強く反対する。

出典:東京弁護士会

まー、もともと政府機関があった地域では、当然反対しますよね。

それに「わざわざ地方に移すメリットなんて本当にあるの?」っていう疑問は残ります。

政府の覚悟を見せる時

私は政府の地方移転は「賛成」です。

「東京一極集中はけしからん」「地方をもっと活性化しなければ」いけないという理由ではありません。

賛成の理由は「新しい働き方を国が実践しよう」としているからです。

東京じゃなくても、仕事はできる 国が証拠を見せる」この覚悟を感じるからです。

インターネットを使えば、いくらでもテレビ会議ができます。テレビ会議だと、高度な決定ができないなんてことはありません。

通勤に1時間もかけて都内の本社に通うという働きかたは、本当に効率的なのでしょうか?
(私も、都内で働いていましたが、この長い通勤時間は本当に疑問でした)

若者が首都圏に流出する原因は、地方に魅力ある職場がないためと言われています。

もし、政府機関の地方地点が成功して、地方でも高度な仕事ができる新しい働き方が定着したら、若者の首都圏流出を防ぐこともできます。

河野太郎消費者行政担当大臣が、消費者庁の徳島移転に前向きの姿勢を見せているようです。
せっかく、このような機会が訪れたのだから徹底的に挑戦してほしいものです。

この記事の著者

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小笠原貴史

フォームズ株式会社

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