一般社団法人 秋田県中小企業診断協会

マイナンバー3分講座第3回 従業員からの取得方法(サンプル文書付き)

2015.10.16

今回は第3回目ということで、そろそろ実務であるマイナンバーを(従業員から)取得する場合の手続きについて、解説したいと思います。

マイナンバーを社内で管理していく上で、最初に従業員からマイナンバー情報を取得しなくてはいけないのですが、この取得手続きもマイナンバー法で定められています。
そのため、適当に取得してはいけません。

取得時に必要な手続きは、大きく分けると2つです。

  1. 利用目的の通知(または公表)
  2. 本人確認

利用目的の通知

「利用分野編」で解説した通り、企業においてマイナンバーは「社会保障」と「税」の分野での利用に限られています。

具体的には、以下のような事務手続きが利用目的ということになります。

・健康保険・厚生年金保険届出事務(社会保障)
・源泉徴収作成事務(税)

これを従業員に対して「通知」する必要があります。通知方法は「書面による通知」のほかに「社内LANによる通知」も可能です。

利用目的通知の文例

【個人番号の利用目的】
当社は、当社の従業員(役員等を含む)から収集した、従業員、その配偶者及び扶養親族等の個人番号を、以下の目的で利用します。

1.源泉徴収票作成事務
2.健康保険・厚生年金保険届出事務
3.…

この利用目的は、従業員各位が、個人番号を当社に提供することになる配偶者、扶養親族等に伝えてください。

本人確認

次に、マイナンバーを提出した従業員の本人確認をする必要があります。
この本人確認は、「身元確認」と「番号確認」の2つの手続きに分かれています。

身元確認

身元確認とは、マイナンバー提出の手続きを行っている者が、そのマイナンバーの正しい持ち主であるかを確認することです。

通常、身元確認には以下に示す「運転免許証」「パスポート」などを使用します。

身元確認書類 有効条件
・マイナンバーカード(表面・裏面)
・運転免許証
・パスポート
・身体障害者手帳など…
・写真付き学生証
・写真付き身分証明書
・写真付き資格証明書
氏名又および生年月日または住所が記載されているもので、提出時において有効なもの

上記の身元確認書類の提出が難しい場合は、次の書類2種類でも構いません。
(詳細は、以下に示す「従業員への通知文サンプル」を確認してください)

・国民健康保険、健康保険、船員保険、後期高齢者医療もしくは介護保険の被保険者証
・健康保険日雇特例被保険者手帳
・国家公務員共済組合もしくは地方公務員共済組合の組合員証
・国民年金手帳
・国税、地方税、社会保険料、公共料金の領収証
・戸籍の附票の写し(謄本もしくは抄本も可)
・住民票の写し
・住民票記録事項証明書
・母子健康手帳

番号確認

「番号確認」とは、そのマイナンバー(個人番号)が正しいものであるかの確認です。
現時点で次の3つにマイナンバーが記載されています。

  1. 個人番号の通知カード
  2. 個人番号カード(マイナンバーカード)
  3. 住民票

(1)は、自宅に郵送されてくるマイナンバーが記載された紙製のカードです。
(2)は、市役所等に申請して発行される顔写真付きのカードです。身分証明書にもなります。

もし、本人確認として(2)個人番号カード(マイナンバーカード)を提示した場合は、身元確認と番号確認を同時に行うことができます。

取得時期

マイナンバーは、「平成28年1月以降」の「社会保障」と「税」の手続きに使用するので、マイナンバー制度の開始と同時に、すぐに取得する必要はありません。

企業実務の上で、最も適当な時期は、年末調整を行うための「扶養控除等(異動)申告書の提出」のタイミングです。

扶養控除等(異動)申告書にはマイナンバーを記載箇所があるので、本人確認を行ったうえで、マイナンバーが記載された申告書を取得するのが良いです。

なお、扶養控除等(異動)申告書には、従業員の扶養家族のマイナンバーも記載しなければいけません。

そのため「家族の本人確認も必要あるの?」と疑問に思いますが、事業主には従業員家族の本人確認をする義務はありません。
これは家族の本人確認をしなければいけないのは、その従業員自身になるためです。
従業員家族の本人確認はその従業員自身が行い、その従業員の本人確認は事業主が行うということです。

ただし、他の書類、例えば「国民年金第3号被保険者関係届」は、事業主が家族の本人確認を行わなければなりません。

一度取得したマイナンバーは、利用目的を通知していれば、その利用の範囲内で使うことができます。
「家族の本人確認」という手間を省くために、「扶養控除等(異動)申告書の提出」のタイミングでマイナンバーを取得するのが、最も良いタイミングというわけです。

従業員への通知文サンプル

今回のまとめとして、以下の「従業員へのマイナンバー取得通知」サンプル文書を確認してみてください。

従業員へのマイナンバー取得通知文書のダウンロード(MS Word)

この文書に利用目的も記されているので、内容を少し変えるだけで、そのまま従業員への通知文書にすることができます。

よく分かるマイナンバー制度

この記事の著者

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小笠原貴史

フォームズ株式会社

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