こんにちは、中小企業診断士の小笠原貴史です。
2015年10月から、いよいよマインナンバー制度が始まりました。
中小企業の約8割で対応ができていないという報道がありましたが、皆様の会社ではどうでしょうか?
「なんだか、良く分からない」
「情報の漏えいが心配」
「セキュリティ対策にお金がかかりそう」
など、不安や疑問がたくさんあると思います。
そこで、このブログでマイナンバー制度と企業実務の解説を中小企業事業者様向けにお届けしたいと思います。
3分位で読める量を目安に連載していきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、1回目は、マイナンバー制度の根拠になっている法律です。
マイナンバー制度の根拠法
いきなりですが、以下のページを見てください
http://law.e-gov.go.jp/announce/H25HO027.html(別ウィンドウで開きます)
これは「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」の全文です。MS Wordで文字数を数えたみたら「76483文字」ありました。原稿用紙で約200枚分です。
第一条を抜き出してみました。
第一条 この法律は、行政機関、地方公共団体その他の行政事務を処理する者が、個人番号及び法人番号の有する特定の個人及び法人その他の団体を識別する機能を活用し、並びに当該機能によって異なる分野に属する情報を照合してこれらが同一の者に係るものであるかどうかを確認することができるものとして整備された情報システムを運用して、効率的な情報の管理及び利用並びに他の行政事務を処理する者との間における迅速な情報の授受を行うことができるようにするとともに、これにより、行政運営の効率化及び行政分野におけるより公正な給付と負担の確保を図り、かつ、これらの者に対し申請、届出その他の手続を行い、又はこれらの者から便益の提供を受ける国民が、手続の簡素化による負担の軽減、本人確認の簡易な手段その他の利便性の向上を得られるようにするために必要な事項を定めるほか、個人番号その他の特定個人情報の取扱いが安全かつ適正に行われるよう行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十九号)及び個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)の特例を定めることを目的とする。
よーく見ると分かるのですが、これ実は「1文」です。文章の終わりを示す句点「。」が最後に1つしかありません。
もうお気づきだと思いますが、これが「通称マイナンバー法」の文書です。
文の終わりに「個人情報の保護に関する法律…の特例…」と言う個所がありますが、これは「個人情報保護法の特別法」ということです。
マイナンバー法というのは個人情報保護法の特別法という位置づけになっています。
すなわち、マイナンバー法は個人情報保護法がベースになっており、その内容の一部が変更になっているということです。
マイナンバー制度を正確に理解するには、この法律文書を読めばいいのですが、全文を読むなんてとても無理ですよね。
安心してください。企業実務では法律文を読む必要は全くありません。
しかも、絶対に必要な企業実務は数項目ぐらいしかありません。
とりあえず、1回目なのでマイナンバー制度の根拠になっている法律のイメージができたら、今回の目的は達成です…
っと言いたいところですが、最後にもう1つ覚えてください。
特定個人情報保護委員会とガイドライン
マイナンバー制度の開始に伴い内閣府の外局に「特定個人情報保護委員会」というものが作られました。
この委員会はマイナンバー法によって定められており、主にマイナンバー制度の監督や評価を行うところです。具体的には、以下のことを行っています。
- 特定個人情報の取扱いに関する監視・監督(立入検査、報告徴求、指導、助言、勧告、命令等の権限の行使)
- 情報保護評価に関すること(指針の策定や評価書の承認)
- 特定個人情報の保護についての広報・啓発、これらの事務のために必要となる調査・研究及び国際協力等
企業実務にとって、この特定個人情報保護委員会は重要です。この委員会はマイナンバー法に基づいて、特定個人情報を適切に管理するために講ずべき措置を定めた指針「ガイドライン」を出しています。
特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(別ウィンドウで開きます)
この「ガイドライン」を一言で言ってしまえば、「マイナンバー管理において企業がすべき具体的な対策例」です。
次回以降は、この「ガイドライン」の解説を中心に、企業向けのマイナンバー制度の説明をしていきます。
「正確なマイナンバー制度を理解したいけど、法律文書はムリ」という方は、「ガイドライン」に挑戦してみてはいかがでしょうか?(このガイドラインも難解ですが…)