日本の各都道府県に「プロフェッショナル人材戦略拠点」というものが、次々と設置されています。
国の「地方創生」に向けた取り組みの一つ、地方の中小企業での「プロフェッショナル人材」の活用。この事業に取り組む拠点が全国で増え始め、2015年内に31拠点まで増える予定になっています。
「プロの人材」を地方の中小企業に呼び込め 地方創生へ北海道にもセンターから引用
秋田県にも「あきた企業活性化センター」に設置されています。
あきた企業活性化センターでは、県内中小企業の皆様に、「攻めの経営」や経営改善への意欲を喚起し、プロフェッショナル人材を活用しつつ、成長戦略へと導くため、平成27年12月1日、「秋田県プロフェッショナル人材戦略拠点」(内閣府事業)を活性化センター内に開設しました。
あきた企業活性化センターから引用
これは、首都圏などで豊富な経験の積んだプロフェッショナル人材の転職を、地方企業とマッチングさせる事業です。
これ自体は、よい施策なのですが、その一方で懸念もあります。
地方企業の経営環境の難しさ
地方は首都圏と比べると、企業活動に必要な多くのリソースが不足しています。
・人材の量と質
・販売先/仕入れ先
・事業資金
・成功/失敗事例
・チャレンジ意欲
リソースが足りないので、その地方だけでビジネスを完結させるのは、非常に難しいです。
そのため、地方企業の多くが、大都市圏の需要に対する、安い人件費をベースにした商品の製造拠点になっています。
極論を言えば、地方企業の存在価値は「給料(人件費)が安い」ということです。
これでは、人材が大都市圏に流出するのは当たり前です。
そのため、プロフェッショナル人材を招聘したところで、強い企業へと改革していくには、大都市圏の企業よりもはるかに難しいオペレーションが必要になります。
首都圏で実績のあるプロフェッショナル人材といえど、大企業で培ったノウハウをすぐに地方企業に応用させるのは難しいと予想できます。
プロフェッショナル人材にやって欲しいこと
地方企業は、商品の製造拠点としての役割を担ってきたので、何かを作る能力はあります。
しかし、新しい商品を企画したり、販売する能力が弱いです。もっと言えば、この能力を全く鍛えてこなかったといっても良いくらいです。
私がプロフェッショナル人材に期待するのは、商品を「企画」して「販売」する能力の強化です。
地方では下請け企業が多いため、「発注元の意向に沿ったものを作ること=品質」となっています。そのため、末端の顧客の視点で商品開発をするということが機会が少ないです。
また、自治体の事業受託に依存した企業も多く、このような場合は民間企業同士の厳しい競争環境下で商品の品質を高めることもありません。
先ほど、ほぼすべてのリソースが足りないと述べましたが、唯一の例外があります。
それは「情報」です。
「情報」だけは、インターネットを使うことで首都圏の大企業と同じことが実現できます。
企業のマーケティング活動は多くの事例が研究されており、商品開発や販売には手順が確立されています。(たとえば「4P」「AISAS」など)
まずは、インターネットを利用した商品開発や販売戦略の立案ができるプロフェッショナル人材に来てもらいたいところです。